すばらしきガールズバンドをふりかえる
1980年代から活動していたガールズロックバンド。
初期はアングラな感じのするバンドで、少し独特な感じのする曲が多い印象でした。
その頃愛読していた「ロッキンf」というジャパニーズメタル雑誌にも、時々ゼルダは取り上げられていて、「vocalのサヨコは年々進化を遂げている…」などと紹介されていたフレーズも覚えています。
その頃は、ゼルダは記事で知るくらいで、曲を聴いてみようなどとはあまり思わなかったのです。
そんな私が、ゼルダにずぶずぶとハマっていったきっかけは、大学の学生寮で同室になったNちゃんの影響でした。
Nちゃんのカセットデッキから流れるゼルダを聴いているうちに、ゼルダのえがく世界観というか、独特の曲調に少しずつ、ほんとに少しずつ魅了されていったのでした。
最初はワントーンで素人っぽい感じにしか聴こえなかったサヨコの歌声が、だんだんと「ゼルダはこれじゃないといけないのだ!」と思えるくらいにまでになっていきました。
中毒性のある歌声、というのでしょうか。
ゼルダっぽいアルバム、というなら、やはりファーストアルバムなのでしょうが、私の中のベストアルバムはこれ、「D.R.O.P.」(ドロップ)です。
この前作アルバム「Shout Sister Shout」(シャウト シスター シャウト)から、それまでのゼルダが大きく変化したのは、ファンなら誰しも感じていたことだと思います。
アングラな感じが表面からは目立たなくなった感じで、メロディアスPOPに変身を遂げたというか…
それでもゼルダの味みたいなものはしっかりと残っていて、サヨコのvocalも違和感なくはまっていたのでした。
ゼルダの進化を感じさせるアルバムだったといってもいいかもしれません。
そしてその流れをくんでリリースされた「D.R.O.P.」。
曲のクオリティも上がっているような気がしました。
いちばんゼルダっぽいアルバムを挙げるとするなら、私は迷わずこれです。
1.LAZY HEAD
ミディアムテンポのダンサブルな曲。間奏のギターのキュ~~ンがカッコよくて、この曲の雰囲気をこれが作り出している気がします。聴けば聴くほどどんどんしみ込んでいく感じのする曲。
2.MAGIQ MYSTIQ DISCOTIQ
半音上げた音を多用したリズム重視の、いってみれば初期のゼルダらしい曲。初期はこんな曲が多かったかも。サヨコの声はこういう曲にぴったり合っているんだな、と納得。
3. MIDNIGHT WALK
タイトル「D.R.O.P.」のDは、Danceの頭文字でもあり、この曲もテンポのよいメロディアスな曲。途中からの変調がゼルダらしい。歌詞も空想の世界を描いていて、ファンタジーいっぱいなところもやはりゼルダの得意とするところですね。
4.WELCOME TO MY GARDEN
その時の自分がどんなことに悩んでいたのか忘れたけど、このスローテンポ曲がすごく名曲だと気づいた瞬間がありました。その時の私の心にスーッとじんわりしみ込んできて、そして優しく癒してくれるような。その時からこのアルバムのベスト曲はこの曲になりました。前作のアルバムの「Darling Missing」もこの曲と雰囲気がよく似ていて大好きな名曲です。
5.TUNING YOUR HEART
これもゼルダらしい曲。こういう曲が、ライブではアレンジ加えて盛り上がれるライブ曲になるのでしょうね。ギターもいろいろ遊んでいておもしろい曲。
6.D.R.O.P
このアルバムのタイトルにもなっているテーマ曲。「Dance Revolution Open Power」。そのとおりの曲。頭文字で「ドロップ」となっているように、この曲もいろんな味の楽しめる小粒のドロップのようです。この曲が、というより曲全体が本当に色とりどりのドロップの集まりのようです。
7.LADY SADISTIK
少し切ない感じのする、しっとりと聴かせる曲。間奏のピアノの音色が印象的です。この曲もゼルダらしさが散りばめられていて、聴くほどについつい一緒に歌ってしまいます。
8.HEAVY BABY
この曲もライブで盛り上がる曲の一つなんでしょうね。この曲はギターがヘビメタしてて、個人的にもとても好きな曲です。曲はワイルドなギターリフで入るので、「おっ!」と思わせます。ゼルダの曲はたまにこういう瞬間があるので、そこも魅力的に思うところ。聴いていくうちにゼルダアレンジにハマっていきます。
9.FRIENDS&LOVERS
入りからのリズムが心地よくて、スーっと聴いていてしまう曲。でもところどころのギターが遊んでいて、それでもバランスがとれたいるところが、ゼルダアレンジというのでしょうか。ゼルダの世界観は現実よりも空想世界に近いところ、例えばヒトが夢の中で感じる世界とか?を表現しながらも、でも普遍的なところもちょこちょこ入ってたりして、ハッとさせられる歌詞もたくさんあります。
10.GOLDY/まぶしい瞳
アルバムのラスト曲。ラストにふさわしくサラッと、でもせつないメローディーラインで名残惜しい気持ちを感じさせる曲。この曲を聴くと青春時代の終わりの心情・・・後悔のあるようなないような宙ぶらりんの時期を思い出してしまうのです。誰でも通り抜けるであろう後から思い出すと切ない時代。
いろんな曲で構成されていながらも全体的にバランスが取れていて、いつのまにか最後まで聴いてしまったと思わせるような、聴いている人をその世界に引き込むことができるのが本当にいいアルバムだと思うのです。
「D.R.O.P.」は、色とりどりの小粒のジュエル(ドロップ)がきらりと光る曲が集められていて、いつ聴いても最後まで聴いてしまうアルバム。
ボーカルSAYOKOの声は嫌味をまったく感じさせないということもこのアルバムで再認識しました。