岡山にも蕎麦巡りを愛する者の開拓意欲をそそるお店はたくさんあるようです。
「でんしょう坊」は国道53号沿い、農道を少し通り抜けたところにあるお店。
山のふもと、エメラルドグリーンの屋根(!)ですぐわかります。
その昔、でんしょう坊というお寺にあった井戸水は、いかなる干天続きにもかれることがなく、茶の湯tとしてもよく利用され「でんしょう坊の名泉」と呼ばれて、それを蕎麦打ちにも使用するようになった…とのことです。
古民家を利用した造りになっていて、のれんをくぐったとたん、田舎のおばあちゃんの家みたい、懐かしさに包まれる感じです。
昔はかやぶき屋根だったようですね。
お昼時だったので、もしかしたらかなり待たないといけないのかも…と思っていましたが、ラッキーなことにすぐ席に通されました。
縁側に作られた長いテーブルに座ります。お庭ビューの席。
天ざるそばを注文。
天ぷらもあれば必ず注文します。
蕎麦にはやはり天ぷらがベストマッチ。
揚げたての野菜天ぷらとともに、手打ち感満載の蕎麦です。
まずはひとくち、何もつけずに。こうばしい風味がほんのり香ります。
そして天ぷらに添えられている塩を拝借して、塩をつけてひとくち。
蕎麦は塩で味わうのが究極の食べ方ではないでしょうか。
天ぷらにも目を奪われました。
三つ葉、にんじん、なすび、たけのこ、ジャガイモ、ブロッコリー。
これだけ種類がある天ぷらもなかなかないと思います。
メインを誇る三つ葉の天ぷら形よくサクッとしていて、蕎麦とほんとうによく合います。
感心したのがジャガイモ。程よい小ささで角切りにした状態で揚げてあり、とても食べやすく工夫されています。
玉ねぎの輪切りだと思っていたのが実はたけのこで、旬の味も楽しむことができました。
季節ごとに天ぷらのレパートリーは変わるようです。
お蕎麦のつゆも甘すぎず、濃すぎず、そば湯で薄めて飲むとちょうどよい味加減。
・・・そば湯がお蕎麦と一緒に来たので、アツアツのそば湯が好きな私は、冷めてしまうなーとそこだけが少し残念ではありました。
お腹もよいあんばいで満たされ、またも至福のお蕎麦タイムを楽しむことができました。
自分もそうでしたが、周りのお客さんの会話があんまり聞こえてきません。みなさん黙々と蕎麦を味わっているようです。
これだけの種類の野菜天ぷらもついて、1150円。でんしょう坊さん、リーズナブルです。
お会計をするとき、玄関横に古いお皿がお安く売られているコーナーを発見。
そこで一目で気に入って買ってしまったのがこのお皿。
小物入れにすると素敵な感じになりそう。
お蕎麦が売り切れ次第に閉店となるようですので、早めの時間にたどり着いておく方が安心です。
お蕎麦屋さんというのは、お蕎麦自体の味ももちろんだけど、食べる場所の雰囲気だとか、周りの景色とか、来ているお客さんのようすだとか、そういうものによる演出も、蕎麦の味を左右してしまうものなのだろうな、と改めて感じたお店でした。