JAPAN HEAVY METAL FANTASY 2023
BAHAMA STILLALIVE 1963-2023
10月29日、大阪住之江区の「GORILLA HALL OSAKA」で、記念すべきライヴが行われました。
日本におけるヘヴィメタの黎明期
それは1980年代、「JAPAN HEAVY METAL MOVEMENT」という、いわゆるジャパメタブームが日本に巻き起こりました。
このジャパメタブームは、イギリスのIRONMAIDEN(アイアンメイデン)を中心に起こったNWOBHM(ニューウェーブオブブリティッシュヘヴィメタル)というムーブメントに影響を受け、その影響が日本にも訪れたことがきっかけといわれています。
この時期に出現し、ムーブメントを盛り上げたバンドは、
LAZY(レイジー)
当初は事務所の方針でアイドルバンドとして活動していましたが、1980年に「ヘヴィメタル宣言」をして自分たちのやりたい音楽性を確立。
しかし、その後の音楽的方向性を巡る意見の相違から解散し、高崎晃と樋口宗孝がLOUDNESSを結成するに至ります。
LOUDNESS(ラウドネス)
1981年にデビュー。海外進出も果たし、ビルボードTOP100にもアルバムがランクイン。日本人アーティストとして初めて「マディソン・スクエア・ガーデン」のステージにも立ちました(モトリー・クルーの前座)。
LOUDNESSは日本のヘヴィメタルを代表するバンドとなり、多くのアーティストに影響を与えました。現在も精力的に活動しています。
44MAGNUM(44マグナム)
「和製モトリークルー」として売り出され、当時としては珍しく、髪を金髪に染めてケバケバしい化粧やカラコンをした派手さとキャッチーさで日本のヴィジュアル系バンドにも影響を与えました。
1989年に一度解散しましたが、2002年に復活して現在も活動しています。
EARTHSHAKER(アースシェイカー)
キャッチーなメロディと歌詞で日本のハードロック&ヘヴィメタル界をリードしてきました。
個人的に一番思い入れのある、大好きなバンドです。
1994年に一度解散しましたが、1999年に再結成され、現在も当時のままオリジナルメンバーで活動している唯一無二のバンドです。(現在は永川敏郎Key.もメンバーとして加入)
その他 VOW WOW、MARINO、X-RAY、ANTHEM、PRESENCE、SHOW-YA、聖飢魔Ⅱ、EZO、ガーゴイル、X・・・など、
現在はモンスターバンドになったバンドも、80年代に現れているのですね。
これらのバンドがジャパメタブームを牽引し、その後の日本のヘヴィメタルシーンに大きな影響を与えてきました。
このブームが、日本の音楽シーンにおけるヘヴィメタルの地位を確立し、その後のバンドに道を開いた重要な時期だったのです。
数々の名バンドをおくりだした大阪の老舗ライブハウス「BAHAMA(バハマ)」
大阪の心斎橋BAHAMAは、1963年にオープンし2006年に閉館するまで、数々の日本を代表するハードロック・ヘヴィメタバンドを産みだしました。
BAHAMAは、メタルバンドに対して非常に開放的であったため、多くのメタルバンドがBAHAMAで演奏する機会を得ることができたようです。
自身の音楽を追求し、成長する場をのぞむバンドを出演させていたため、少しでも上を目指すハードロック・ヘヴィメタバンドにとって、
BAHAMAは特別なライブハウスだったようです。
今回のライブでも、アースシェイカーのSHARA(Guitar)も、
「バハマのオーナー(バハマのお姉と呼ばれていた藤田淑子さん)から、ライブ後はいつもダメ出しを受けていた」
との思い出話が。
このBAHAMAの存在なしには、関西のメタルシーンは語れないのです。
そのBAHAMAの申し子たちが集結した、今回のライブ!
本当にミラクル!なライヴでした。
出演バンド
1.Gargoyle(ガーゴイル)
2.PRESENCE(プレゼンス)
3.MARINO(マリノ)
4.44MAGNUM(44マグナム)
5.EARTHSHAKER(アースシェイカー)
6.ゲスト:二井原実(ラウドネス)
1.Gargoyle(ガーゴイル)
実は、不覚にもライブ会場が心斎橋だと大いなる勘違いをしていた私は、このライブに30分遅刻してしまったのでした。
到着した時には、既にガーゴイルが最後の曲を終えようとしていた時。
当時も、ガーゴイルのライブは経験がなく、雑誌記事を読むか、ビデオで見るだけだったのだけど、そのあまりにもインパクトのある、一度見れば忘れることのできないボーカルKIBAの容姿ははっきりと記憶に刻まれており、見た瞬間、「あ、本物のKIBAだー。あの少ししゃがれた声も。」と、妙に納得。
独特の世界観のあるガーゴイル。少し癖が強いので好き嫌いが別れるバンドかもしれないけど、その世界観を今も突き通しているのはスゴイことです。聖飢魔Ⅱのデーモン小暮にも匹敵するほどではないでしょうか。
2.PRESENCE(プレゼンス)
PRESENCEは、今回最も楽しみにしていたバンドのひとつ。
アメリカンテイストのドライブ感あふれるサウンドにのるSHIGERUのスコーンと抜けるハイトーンボーカル。
今年7月にギターのRUDEEが急逝し、ステージ上には美形のRUDEEの特大パネルが飾られ、本当にRUDEEはいなくなったのだ、と思うしかありませんでした。
RUDEEといえば、PRESENCEの次に在籍したGRAND SLUMの時の印象の方が私は強いかもしれません。
あと、アースシェイカーのローディーやってたんだよなーということと。
PRESENCEのライブも今日が初めて。ほんもののSHIGERUも初めて。ドラムのHIBARIも!若い!
そして、ギターはなんとアースシェイカーのSHARAがサポートを務めるという・・RUDEEの師匠のSHARAがギターを弾くなんて。
こんな巡りあわせも悲しいのだけれど、RUDEEとSHARAの師弟愛が、ステージ上にそこはかとなくオーラを放っていたのは間違いありません。
ライブは「Rock Drive」からスタート!
この曲、ナマで本当に聴きたかった曲。
PRESENCEならこの曲を最初にやるという確信もあったので、なにかがピッタリとはまった感じ!
中盤の「あ~あのステージを~夢見ながら行くさ~」のメロディがすごく好きで、私も声を張り上げて合唱。
これがSHIGERUの絶品ハイトーンボーカルか~!
SHIGERUから、「バハマは本当にボーカルが聞こえなくて、修行の場所だったから、他のライブハウスに行くとやりやすくてやりやすくて」とバハマへの賛辞メッセージもありました。(笑)
「蜃気楼」を唄うときに感極まって途中で声が出なくなったSHIGERU。
もう一つ最高だったのは、ラストの「Rock’nRoll」。
この曲をナマで聴けるだけでも貴重なのに、さらにSHARAがRUDEEの使っていたギターを弾くという超レアな演出。
感動でいっぱい、何も言うことありません、
この歳にして、PRESENCEに逢えるなんて、こんなすごい瞬間に立ち会うことができるなんて。
ずっと、ジャパメタ好きでよかった、逢いに来てよかった・・・
3.MARINO(マリノ) feat.YOUSUKE MIYAKE
BAHAMA出身であり、関西3大メタルバンドと言えば、アースシェイカー、44マグナム、そしてもうひとつがこのマリノ。
私はマリノの音源はナマでは聞いたことがなく、数年経ってからCDリリースされたベスト盤(ラジャスとのカップリング)で、そのサウンドを初めて耳にしたのでした。
今回のシンガーの中でいちばん声が出ていたのは、ボーカルのLEOさんだったのではないでしょうか。
その唄い上げっぷりは、重厚さ抜群!いぶし銀的な貫禄であふれていました。
時が経たないと出てこない人間の魅力ってありますよね。
歳を重ねるということは、「老いる」ということではなく、内面からの思いとか情熱とかそんなものが
体全体から駄々洩れになっていく、ということでもあるんだな・・
「これが三度の飯より好きなもんで。」そういうものを見つけた人間は、本当に強いし、
そういう人間になりたい、とも思う。
ラストソングは、マリノの曲でおそらくいちばん有名な「IMPACT」。
観客の声もひときわ大きくなって、懐かしくヘッドバンギングする人も。
曲を聴いていると、あの頃のBAHAMA周辺の混沌とした風景を想像できる気がします。
今よりは当然若くて、いつも何かに飢えていて、ギラギラしていたバンドメンバーたちがたむろしているのを。
4.44MAGNUM(44マグナム)
数年前に、京都でアースシェイカーと対バンしたライブに参戦して以来の44マグナム。
ボーカルの梅原”PAUL”達也の体調のことは知っていたんだけど、ステージに立ち続けていることがすごい。
そしてそれを支えている息子のSTEVE。PAULの出しどころをさりげなくサポートしていたのがとても印象的でした。
1曲目、いきなり「I’m on fire」!!
DVDビデオでも何度も観た、ステージにスモークが舞い上がりまくるアレです。
44マグナム、まさにここにあり!!
広瀬”JIMMYさとしのギターアクションも、全然そのまま!かっこいい!
宮脇”JOE”知史のワイルドなリズム。あのドラムの間から覗く、するどい目線が相変わらず素敵。
ただのミーハーとになって、ただうっとり観ていました。
STEVEの、「今日だけはここはバハマだ!」という言葉に胸を熱くしたファンもいたことでしょう。
曲が進み、「I JUST CAN’T TAKE ANY MORE」が始まった瞬間、え?この曲も演るんだ?
歌詞の途中にある「井戸端会議始まっ~た~」って歌詞が笑えるんだよなー、なんて余計なことも思いながら、
ふと気づいた。
「・・って、曲リスト、すごすぎない!?」
マグナムを代表する曲、てんこ盛り!大盤振る舞い!
1987年にリリースされたアルバムの「LOVE OR MONEY」から、マグナムは路線をガラリと変えてしまって、ファンの中では賛否両論あった気もするのですが、私はこのオシャレになったマグナムもすごくカッコよいなーと思っていました。
しかし!このライブでは、初期のマグナムの曲オンリー。
レディースルームのSEXX GEORGEがゲストベーシストだったことも驚きでした。
ラスト曲はもしかして・・
やはりこれ演ってくれた!
「Street Rock’n Roller」
雷鳴から入るあのマグナムそのものといえる名曲に、いままた目の前で再会できるこの感動!
ここで改めて。
昔愛読していた音楽雑誌ロッキンfの1ページにのってた広瀬”JIMMY”さとし。
このお姿に一瞬で引き寄せられたあの青春時代が蘇ってきます。何度も何度も見てたこのショット。
画像検索してたら偶然見つけました。
このショットに再び巡り合えるとは!嬉しすぎる!
5.EARTHSHAKER(アースシェイカー)
今回のトリ、アースシェイカー。(このあとゲストに二井原氏が出るのだけど、トリと言ってもいいでしょう)
全員オリジナルメンバーで、現役でバリバリ活動中のアースシェイカー。
今年で40周年を迎え、今まさに全国ツアー中。
前日も京都「磔磔(たくたく)」でライブをこなしています(もちろん私も参戦)。
始まりの曲はもう、これしかないでしょう、「EARTHSHAKER」。
続いて「記憶の中」へ。
「記憶の中」は初期のシェイカー節が炸裂している曲なので、聴いた瞬間あの頃にすぐ戻ってしまったファンも多かったのではないでしょうか。
あの頃より、がっちりとたくましく体を鍛え上げたMARCY。
京都のライブでも思ったけど、やはり年の功、ライブの功、MARCYはMCがとてもおもしろくなりました(笑)。
ここ数年の間、MARCYがソロで全国各地を廻っていたことも大きく影響しているんじゃないかなあ、と思ったりして。
3曲目に演ってくれたのは、新アルバム「40」から、「Hey!Mr.JOKER」。
CDで聴くより、ライブで聴く方が断然カッコイイこの曲!
王者の貫禄、圧倒的な安定感を見せつけてくれました。
シェイカーのライブ後にいつも思うことがあります。
「アースシェイカーのファンでいつづけた私ってすごいぞ!」
そしてラストは、私の青春時代の代名詞ともいえる「ラジオ・マジック」。
心に最後のピースがはまった瞬間でした。
この曲がなければ、締まらないのです。
MARCYが、「これからも俺たちは走り続けます!」と言ってくれたけど、
アースシェイカーがライブをやり続ける限り、
私も、ずっと、ずーっとついていくのだ、と誓いを新たにしたのでした。
6.二井原 実(ゲスト)
ニイちゃん(二井原実)を見るのは、いつ以来だろう?
おそらく、大阪で花博でのイベントだった「LIVE ZEAL」での「デッド・チャップリン」以来かな、と思いを馳せる私。
その時は私もまだ20代・・、そんなに時が経ってしまっていたのでしょうか。
ニイちゃんは、ハンチング帽を被り、おしゃれなオジサンと化していましたが、
シェイカーバックバンド&JIMMYのギターサポートで唄った「CRAZY NIGHT]は、涙ものでした。
SHARAいわく、「素っ頓狂な声」のニイちゃんは、健在。
ラウドネスのドラマー、ひぐっつぁん(樋口宗孝氏)の姿も今はもう残念ながら見ることはできないけど、
彼のドラミングも思い出しながら拳をつきあげます。
アースシェイカー&JIMMYが演奏する「ラウドネス」を、今ここに見られることの贅沢さ。
最後までやられっぱなし。
エンディング セッション
最後に、何らかの豪華セッションはあるはず・・とは思っていましたが、
出演バンドの全シンガーが勢ぞろいし、演奏された曲は、
BON JOVIの「Livin’ on a Prayer」。
世界中でヒットしまくり、おそらく会場にいる世代の人なら誰もが唄えるスーパーソング。
そうそう、ほほえましかったのが、
「みんなの名前はもちろん覚えてるけど、粗相があってはいけないので、メモを見ながら紹介します」
と、ニイちゃんが、手元のメモを見ながらメンバー紹介したこと。
「うんわかる、わかるよー」と、会場にいる同じ年代の私たちだれもが、ニイちゃんに優しいまなざしを向けていたに違いありません。
ほんとうに、あらゆる瞬間を忘れたくない、貴重なライヴだった「BAHAMA STIIALIVE」。
どのバンドも、BAHAMAへの感謝とリスペクトを叫んでいました。
80年代の、胸をかきむしられるようなあの時代の空気を、時を超えて再現してくれたバンド。
メンバーそれぞれの人生にも紆余曲折があり、バンドも解散したり再結成されたりしたけど、
「なんだかんだ言ってもやっぱりこれやりたいんで!」
と、何歳になろうともロックへの情熱を持ち続けて、絶やすことのなかった彼らに本当に感謝です。
いい夢見せてくれてありがとう!!夢じゃないんだけど。
またどこかで、逢いたいな!