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アースシェイカーへのLove Letter  PASSION

アースシェイカー4枚目のアルバム『PASSION』。

アメリカ・ロスのスタジオでレコーディングされた、アースシェイカー初のセルフ・プロデュースアルバム。

エンジニアに、ジム・ファラーシを起用。ジム・ファラーシは、初めて手掛けた日本のバンドがアースシェイカーだったと述べています。

PASSION アルバムジャケット
4th PASSION  ジャケット
パッション アースシェイカー

PASSIONがリリースされたときにアースシェイカーを追いかけ始めた私にとっては、ヒヨコが生まれて初めて見たものを親だと思ってしまうように、「アースシェイカーとはこんな感じのバンド」というイメージはこのアルバムで深く私の中に根差してしまったように思います。

しかし。

そこから、誰かのファンになったら必ず起こしてしまう行動・・・過去回帰をしていくのですが、それをしていく中で、この私のイメージは考え直さないといけないのでは?と思ったのです。

・やはりアースシェイカーの原点はファーストアルバム『アースシェイカー』であり、そこから続くアルバム2枚目の『フュージティブ』、3枚目の『ミッドナイト・フライト』で、その頃のジャパニーズヘヴィメタルムーブメントの最高の盛り上がりをかたち作ったのではないか。

・『PASSION』は、それまでのアースシェイカーの音楽性とはアプローチを少し変えた戦略的アルバム。その頃のバンドにとって海外レコーディングというのはひとつのステータス的なところもあり、アメリカ進出も視野にあったのではないか。

過去回帰をしていきながらも、PASSIONのカセットテープは何度も何度も大事に聴きまくり、そして何年も時が経って、思うこと。

やっぱり、私の中でのアースシェイカーのベストアルバムは『PASSION』だなあと。

アメリカの乾いた風が吹くであろう西海岸で録音された、カラッとしたドライな音。

ライブで間違いなく盛り上がる曲から、聴かせるバラードまで盛り込まれ、曲色や曲調のバランスは絶妙なところ。

メンバーが、L.A.を満喫しながらレコーディングしたのがわかるノリ。

アースシェイカー in ロス

PASSIONのそれぞれの曲について、私の思いを勝手気ままに解説します。

yusura

<曲分類>  
アースシェイカーの曲は、一般的にメロディアスハード系と呼ばれることが多いです。それを更に分類し、それぞれの曲に付してみます

 メロディアス系・・・シェイカーの骨頂、ライブでも必須の曲
 ハード系・・・硬派な音にメロディが絡み合い、独特の雰囲気を醸す曲
 ヘヴィ系・・・・ガシャガシャヘヴィメタル
 バラード系・・・ラブバラ(恋愛バラード)系、オモバラ(思い出しバラード)系
 カワイイ系・・・ポップスに限りなく近い

 

PASSION

1.COME ON   メロディアス系  
ライブでは必ず演ってくれる曲。まちがいなく盛り上がり必須の曲です。このプロモーションビデオのマーシーは超カッコイイ!地元でのコンサートのCMはこの曲が流れていて、その頃は家にビデオがなかったので、オンエアの時間には食い入るようにテレビをチェックしていました。Youtubeなどもちろんなかったあの頃のハングリーさは、忘れてはいけないなあ、と思うのです。この曲のイントロは、今聴いても胸が高鳴ります。

2.THE NIGHT WE HAD   オモバラ系
シェイカーのバラードは本当にカッコよくて、聴かせる歌が多いのです。お金がなくても懸命に夢を追いかけていたあの頃が、時代とともに鮮明に浮かび上がってくるようで。モヤのけむる朝の倉庫街、ウィスキーのけだるいにおい、希望をなくしそうでつらい夜。その時に、売れるバンドとしての未来がどれほど想像できただろうか。

3.CAN‘T STOP LOVING(君がゆれる)  メロディアス系
イントロからのせてくれる、とても好きな曲。なんとなくアメリカのロサンゼルスの空気みたいなものが詰まっている感じがして。海外レコだからこそ、この雰囲気が出せる曲に仕上がったのではないでしょうか。ライブではあまり演らない曲だけど、このアルバムにはなくてはならない曲。

4.WHISKY AND WOMAN   メロディアス系
この曲も、ロサンゼルスだからこそできた曲のような気がします。その頃、ミュージックトマトという、はやりのPVを流してくれるおしゃれな音楽番組(マイケル富岡がナレーションでした!)があったのですが、この曲がいきなり出てきたとき、それまで「動いて1曲歌ってるアースシェイカー」を見たことがなかった私は、年末の大掃除もそっちのけ、狂喜乱舞状態だったかも。涙も出ていたかも。ビデオないから目に焼き付けるしかなくて、全集中して見ました。マーシーは歌うときこんな感じなのだ・・・。「うーむ、実物が見たい。」その時の決心は固かった。

5.HUNGRY DOLL   ハード系
シェイカー節炸裂曲。イントロはオッサン系の音で渋く太く。このアルバムの中でカラオケで歌ってみたい曲はどれかと選ぶなら、まずこの曲です。PASSIONのアルバムの王道を行く曲かも。聴いているうちに惹きこまれてしまう不思議な曲。これのPVも作ってほしかったなあ・・・

6.HEAVY DANCE    ハード系
シェイカーはダンサブルな曲もやるのです。PVもかなりPOPな感じに仕上がっていて、シェイカーってこんなにはじけてるの⁉と見たとき意外に感じた記憶が。それまでのアルバムにはこういう雰囲気の曲は全くなく、外タレ(と言っては言い過ぎか…)っぽい感じ。これもロスレコーディングの影響は多大にあるかもしれません。

7.流れた赤い血はなぜ!   メロディアス系
初めて聴いたときに、シェイカーはこういう曲もやるバンドなんだと、少し意外に感じました。そして、この曲名の日本語の意味はなに?でも聴くたびにこの題名でないといけない気がしてくるのです。そして、この曲もシェイカーの王道の曲であるのにようやく気がついてくるのです。ライブで聴くと本当にカッコイイ曲。

8.SWEET HARD ON   ハード系
この曲もアルバムPASSIONを強烈にイメージづけしている曲のひとつだといってよいでしょう。この曲を聴くと、夜な夜なライブをこなすバンドマンってやっぱりこうなのかな?など妄想をかきたてられます。マーシーが明るくワイルドにハイトーンで歌い飛ばしている感じがとても好きです。

9.ありがとう君に   ラブバラ系
シェイカーのバラードのイチオシ曲がこの曲。PASSION TOURのファイナルとして行われたアースシェイカー初の武道館ライブの大トリ曲でもあります。その頃のバンドマンの最高峰の武道館で万感の思いを込めて歌う「ありがとう君に」をマーシーが涙声で歌っているのを聴いて、私もどれだけラジカセの前で涙したことか。マーシーのアコースティックソロライブで聴く、ギター1本の「ありがとう君に」も泣かされましたが。
武道館には、マーシーの両親も招待されて、来られていたようで、親への感謝も込められた「ありがとう君に」だったんだなあ…

アースシェイカー in LOS.

その頃発刊されていた、あるハードロック・ヘビメタ専門誌には、いろんなバンドのアルバムがリリースされるたびにそれを100点満点で採点していたコーナーがあったのですが、その評価が結構辛口だったのです。

外国のバンドには好意的、日本のバンドにはちょっと・・・という傾向がすごくはっきりしていたのですが、その評価でPASSIONは91点とつけられていたのを覚えています。

外タレびいきの専門誌にも高得点をつけさせたアースシェイカー、すごい!と、その頃は自分が取った手柄のように喜んでいたのですが、今になって(歳を重ねて)、いや、そうじゃないんだなあ・・・ということが分かりました。

人それぞれ、いいなあと思う基準は違って当たり前。

誰かの基準は参考にすればよくて、自分がいいと思ったものを突き詰めていけばいい、それだけ。

その頃には、使われなかった「推し」という言葉をフル活用しながら、私は今日も「自分の好きなもの」に思いを馳せます。


2023年9月6日、アースシェイカー待望の40周年記念アルバム『40』が発売されました!
日本のメロディアス・ハードロックの原点はここにあり!

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