島根半島先っぽの美しい案内人
山陰地方、島根半島の東端の地蔵崎に立つ、白亜の灯台 美保関灯台。
美保関には、昔、航行する船の目印になった「関の五本松」や、参拝客の多い「美保神社」などの観光地もあります。
美保関灯台は、その美しさから、「世界の灯台100選」「日本の灯台50選」にも選ばれています。
何度か訪れましたが、数年前に改修工事が行われてから、美しい白色の石壁が復活しました。
晴天で見晴らしの良い日には、遠く隠岐の島の島前・島後もうっすらと確認することができます。
改修後の灯台はこんな感じに。(あいにくの天気で、白色の美しさが映えないのが残念ですが…)
2023年現在も美保関灯台は相変わらず美しく存在しています。
ケーキを半分カットして、ホイップクリームでデコレーションしたような灯台。
初点灯日は明治31年(1898年)11月8日。
灯台をぐるっと囲む海側の遊歩道もきれいに整備され、灯台が見やすくなった感じです。
以前はもっと真下から見上げていたと記憶しているので、灯室の中が見やすくなりました…といってもチョコっとだけですが。
青空のブルーに映える灯台の白のコントラストは、いつ見てもスカッと心が洗われます。
美保関灯台は、「恋する灯台プロジェクト」の認定灯台です。
恋する灯台プロジェクトとは?
Place(場所)・・・非日常感
History(歴史)・・・物語感
Access(道のり)・・・到達感
Romantic(ロマンティック)・・・創造感
Ocean view(景観)・・・最果て感
Shape(形)・・・造形美感
以上PHAROS(ファロス)の審査基準により認定され、灯台をロマンスの聖地へと再価値化していく取り組みです。
美保関灯台はこちら
https://romance-toudai.uminohi.jp/toudai/mihonoseki.html
灯台の横にこんな照射灯もあります。正式名は「美保関地ノ御前島照射灯」。
この照射灯は、灯台から沖合370mのところにある、「地ノ御前島(ちのごぜんじま)」を照らします。
航行する船に岩場があるのを知らせるためなんでしょうね。
遊歩道を歩いていると必ず目にする鳥居。なぜこんなところに鳥居が?
由来を読むと、なんとここも美保神社の境内になっているとのこと。毎年5月5日は神事も行われているようです。
この美保関灯台に来る途中に、美保神社の前を必ず通ります。
美保神社は、商売繁盛の神様で、神社もかなり大きく、島根県でもかなり有名なパワースポットとして知られています。
画像では少し見づらいのですが、遠くに見える「沖ノ御前島」にも小さな灯台(灯標)が立っています。
この島は美保神社のご神体となっているため、灯台の隣に鳥居も奉られているようです。
神域、ということですね。
プチ情報ですが、毎年6月の数日間だけ、鳥居の真ん中から日の出が観られるそうです。さぞ神々しいことだろうと想像します。
遊歩道の木々の間から美しい秀峰大山(だいせん)も見えます。
初代フレネルレンズ
美保関灯台にはもう一つ注目すべきものがあります。
灯台横には灯台ビュッフェがあり、広大な日本海を眺めながら食事ができるのですが、ここのロビーにかつて美保関灯台で使われていた初代フレネルレンズが飾られているのです。
できれば今もこのレンズでいてほしかった…というのはワガママですが、この貴重な一等レンズが残されているのは、灯台のレンズファンとしては嬉しい限りです。
…映画のセットでも使われ(そういえばそういうシーンもあったかも)、大阪にもしばらく展示されていたのですね。
灯台の瞳、レンズの中でも最大の一等レンズ。これが光を放つのですから、その美しさと言ったら…
一等レンズが使用されている灯台は、現在日本では5基しかありません。
一等レンズを使用している日本国内の灯台
・犬吠岬灯台(千葉県銚子市)
・経ヶ岬灯台(京都府京丹後市)
・出雲日御碕灯台(島根県出雲市)
・角島灯台(山口県下関市)
・室戸岬灯台(高知県室戸市)
そしてもう一つ、ここ美保関にも1等レンズがひっそりと保管されているのです。
しかし、ロビーに無造作に置いてあるこのレンズ、簡単に触ることもできてしまうので、破損とか大丈夫なのでしょうか??
さて、美保関灯台へのルート県道2号線から境港大橋を渡るまでの間、ついつい目を引いてしまうこんな灯台もあります。
島根半島の県道2号線から望むと、海中からニョキッと立っている灯台に見えます。
「あんなところに灯台が…」と誰でも少しおどろいてしまう建ち方をしています。どうやってあそこに行くんだ?
境港の工場が立ち並んでいる間を進んで、端っこにある昭和北緑地公園(遊具などはなく、遊歩道のみ)から至近距離でこの灯台を観ることができます。
防波堤が海中に沈んでいるようですが、干潮時であれば、沈んでいる状態の防波堤歩いて灯台まで行くのも可能、とのこと。
でもなんだか怖い、感じもします。
撮影時は海が凪いで穏やかでしたが、荒天時はかなり波が打ち付けるであろうことは想像できます。
そんなつらい状況であっても常に動じず立って海を照らし続ける孤高の灯台なのですね。
絶景とともに遊歩道の整備された灯台も良いけど、こういう過酷な環境にある灯台というのもまた注目せずにはおれません。