お出かけレシピ

2023年 京都『祇園祭』の宵山 奇祭あばれ観音は見る価値あり!

前祭の余韻がまだ覚めきらない翌週、祇園祭の後祭にも酔いしれたくて再び京都へ。

後祭は、全部で11基の鉾が巡行します。

前祭と比べると、後祭は巡行する山鉾の数も半分以下であり、長刀鉾や月鉾のような大きな山鉾はないので、迫力には欠けるかもしれません。

「鉾」よりも「山」と呼ばれ山鉾が多く、曳手も少人数です。

でも、後祭ならではの「味わい」があるのです。

路地の向こうに見える駒形提灯の灯
宵山  路地の向こうに見える駒形提灯の灯

後祭の宵山は、露店などは出ないので、前祭のような殺人的人混みは、まずありませんし、囃子をしている山鉾も数えるほどなので、宵山でも本当に静かな感じです。大通りも歩行者天国にはなりません。

じっくり観察ができるからでしょうか、後祭の山鉾には、なぜか心惹かれる山鉾がいくつかあります。

アクロバティックな山鉾  浄妙山と橋弁慶山

それほど広くない路地に、所狭しと建てられる山鉾。

千年も続いてきたこの行事を綿々と継承していく各山鉾町の人々が大切に、大切に保存してきた山鉾。

その山鉾にはご神体と呼ばれる、いわゆる神様として祀られる人形が乗せられる鉾もいくつかあります。

浄妙山

ご神体は「浄妙坊」と「一来法師」。

ご神体
浄妙坊(右)と一来法師(左)
町家(ちょういえ)に飾られる浄妙山のご神体
浄妙坊(右)と一来法師(左)

このご神体が・・・

浄妙山

巡行の時には、こうなります。

平家物語に描かれている戦いの一瞬を表現したもので、勝運のご利益があるとのこと。

山鉾が立ち止まるたびに、御神体もビヨヨ~ンと動いてしまう、見た目どおりの躍動感のある山鉾です。

橋弁慶山

ご神体は「弁慶」と「牛若丸」。

会所の2階に飾られる橋弁慶山の御神体
会所の2階に飾られる橋弁慶山のご神体  弁慶(左)と牛若丸(左)

このご神体が・・・

橋弁慶山 巡行

巡行時にはこうなります。

牛若丸が、一本足で橋の欄干に立ち、弁慶の攻撃をひらりとかわす、そんな瞬間でしょうか。

橋弁慶山は、くじ取らずの山であり、後祭りの巡行では毎年先頭を務めます。

松などの植物が一切飾られていない、唯一の山鉾です。

哀愁ただよう山鉾  黒主山と木賊山(とくさやま)

山鉾のご神体には、「なぜこのご神体なのだろう?」と、単純に思わせてしまうようなものもあります。

それがとても興味をそそられ、注目してしまうのですが。

黒主山(くろぬしやま)

そのひとつが、「黒主山(くろぬしやま)」。

平安初期の歌人で、六歌仙の一人として讃えられた「大伴黒主」がご神体。

黒主山 ご神体
山桜を仰ぎ見る和歌の神「大伴黒主」

山鉾の上では、桜を見あげて、感傷にふける翁、というシチュエーションになるようです。

黒主山 哀愁の後ろ姿
桜よりもビルを見あげている感じのする黒主山のご神体
黒主山 巡行
担ぎ手も少数の山鉾

巡行では、後ろ姿しか見えない側の歩道にいたので、このアングルでしか撮影できませんでした。

教訓。

後祭の時は、巡行の進行方向に向かって左側の歩道の方が、ご神体がよく見えます。

他の山鉾でも同じことが言えます。

木賊山(とくさやま)

哀愁ただよう、もう一つのご神体は、「木賊山」。

ご神体は、桃山時代の奈良仏師の作であり、生き別れた我が子を思いながらと木賊を刈る翁の姿を表現したものです。

右手に鎌を持ち、虚空を見つめる翁の、もの悲しげな表情。

初めてこの山を見た時は、「なぜにこの一瞬を切り取り、それをご神体として残してきたのか」、とても不思議でした。

木賊山 ご神体

ご神体を間近で見ることはできないものの、かなり年数がたっている感じがします。

黒主山と同様、巡行のあいだついつい目で追ってしまう、翁のご神体。

故郷の祖父を思い出してしまうからでしょうか。

復活した山鉾  今年の鷹山(たかやま)

昨年、196年ぶりに復活した「鷹山」。

白木の香りもまだ新しそうな鷹山ですが、今年は少し進化しています。

2023 鷹山
2023年の鷹山
2022 鷹山
2022年の鷹山

昨年との違いを調べてみたところ、欄縁と四本柱が黒く塗られていますね。

屋根の破風や垂木はまだ白木のままで、ここも今後は変化していくようです。

そして、ご神体にも大きな変化が。

今年、会所に祀られた3体のご神体。

2023 ご神体
2023年 鷹山ご神体

昨年復活時の、ご神体。

2022 ご神体
2022年復活時 鷹山のご神体

装束がガラリと新調されました。

カッコイイですねー!!

重厚さが増した感じです。

今年は、ご神体の左側の壁に、掛絵図も飾られていて、勇壮な鷹が描かれています。

今後は右側にも掛絵図が登場するのでしょうか、構図が断然引き締まる感じがします。

ここで、ひとつマメ知識。

平成20年の調査で、ご神体3体のうちの1体「樽負(たるおい)」(中央のご神体)が、からくり人形だったことが判明しました。

手が動き、実際に粽(ちまき)を口元に運びながら昔は巡行されていたとのことです。

現在の人形の胴組は、からくり仕様ではないので忘れられていたそうですが、1体くらい動くご神体があってもいいのかもしれませんね。

鷹山の巡行中、画像では暗くてよく見えないのですが、一体のご神体の白いお顔がかろうじて確認できました。

鷹山 巡行
鷹山 巡行

きらびやかな大船鉾

後祭の巡行で最後尾を飾るのは、「大船鉾」と決められています。

大船鉾は平成26年に巡行に復活した、比較的新しい山鉾。

その名のとおり、船の形をしていますが、前祭で巡行する「船鉾」とよく似ています。

前祭の「船鉾」が、「出陣」を表すのに対し、後祭の「大船鉾」は、戦を終えて戻る「凱旋」を表しているというのが、二つの船鉾の違いです。

宵山の大船鉾
宵山の大船鉾

大船鉾の舟先に取りつけられているのが、豪華絢爛な「大金幣(だいきんぺい)」。

迫力十分で、何より縁起が超良さそう!

昨年は「金の龍頭」が取り付けられていました。

年ごとに交代で取り付けられるようです。

「舟」のイメージがつかみやすい鉾なので、とても人気がある鉾なのではないでしょうか。


あばれ観音 2023

南観音山のご神体は楊柳(ようりゅう)観音と善財童子(「ぜんざいどうじ)です。

南観音山のご神体 楊柳観音
南観音山のご神体 楊柳観音

布で覆われていない観音様は、いたって温和なお姿。

今年も、祇園祭中の奇祭「あばれ観音」を観覧するため、夜23時すぎに宿を出発、昨年の経験を活かして、ここぞ!と思う位置に陣取ります。

観客は昨年と同じくらいか、少し多めくらい。

やはり外国の方はテンションがとても高くて、マシンガンのように喋っています。

私の真向かいの外国人グループ、待ってるところに割り込んできたおばさんに抗議したりして、オイオイ・・・

23時15分、いよいよ始まりました!

南観音山と北観音山のあいだを、行ったり来たり3往復。

昨年より、わっしょい時のあばれ度は増していたかもしれません。

せっかく参加しているので、2往復目からは、動画を撮るのをやめて、拍手して「ワッショイ!ワッショイ!」と一緒に叫んでみました。

これが、とても楽しかった!

祭はやはり参加するのがおすすめ!

あばれ観音が終わると、観客もあっというまに散らばっていきます。

南観音山は、駒形提灯が落とされ、さっそく明日の巡行の準備が始まります。

せまいけど風情のある京都の路地で繰り広げられる、夏の風物詩。

今年も出逢えたことに感謝です。

青空に映える真松

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