アースシェイカー3枚目のアルバム「Midnight Flight(ミッドナイトフライト)」。1984年10月リリース。
このアルバムは、ジャパニーズメタルの大名盤として位置づけられていることが多く、初期のアースシェイカーを知るには、このアルバムは必聴です。
2枚目の「Fugitive」と同じく、アメリカのサンフランシスコで録音され、プロデューサーは伊藤政則氏。
1stアルバム「EARTHSHAKER」のゴリゴリ粗削り感と、名曲「MORE」の収録された「何かが始まりそうな予感」のする2nd「Fugitive」のリリースを経て、急上昇中のアースシェイカーの魅力が存分に感じられる作品です。2ndアルバムからなんと7カ月でこのアルバムはリリースされています。
いかにシェイカーがジャパメタムーブにノっていた・・・いや、おおきなうねりを作りあげていたのは、まさしく彼らだったのでしょう。
私はPASSIONからの逆戻りでしたが、このアルバムでますますズブズブとはまってしまうことになったのでした。
PASSIONで学習してわかっていたはずのシェイカーの音楽性みたいなもの・・は、方向を少し変えて更新されることになりました。
ひとめぼれ(ひと聴きぼれ?)した曲「ラジオ・マジック」が収録されていたのもありましたが、そのほかの曲、「ざわめく時へと」「失われた7224」「T-O-K-Y-O」なども、「こんな曲も作っちゃってるわけ~?」と、完全にムーブメントに乗り遅れたことに後悔を感じたのでした。
「いや、まだ間に合う!」と自分を励ましながら、お小遣いをやりくりしてシェイカーの音源を追い求めていたあの頃。
それを思うと、現在のYouTubeなど、ほんとに脅威。こんな簡単に過去が振り返られてしまってもいいんだろうか?あの頃、自分の頭にしっかりと刻み込んだあの場面、あのシーンを、こんな簡単に、タダで、見られてしまうのっていいんだろうか?
いいのです。時代の進化の恩恵を受けられるタイミングに生きていられることを幸せだと思って、ありがたく視聴させてもらえば、それでいいんじゃないかと。
アースシェイカーの大名盤「Midnight Flight」の曲を、私の勝手な視点で解説していきます。
それぞれの曲を以下に分類してみます。
メロディアス系・・・シェイカーの骨頂、ライブでも必須の曲
ハード系・・・硬派な音にメロディが絡み合い、独特の雰囲気を醸す曲
ヘヴィ系・・・・ガシャガシャヘヴィメタル
バラード系・・・ラブバラ(恋愛バラード)系、オモバラ(思い出しバラード)系
カワイイ系・・・ポップスに限りなく近い
Midnight Flight
1.T-O-K-Y-O メロディアス系
ライブでイントロが流れようものなら、「おお~~ッ!!」と野太い雄たけびが毎度響き渡る曲です。いつの時代でも若者があこがれる街、東京。関西から進出した彼らの、東京という街への熱望と期待、そして大都会が故に感じるその裏の寂しさややるせなさが、出だしの「眠ることも忘れ Ah~」に込められているような感じがします。数えきれないヒトが夢を抱えてうごめいている街。いま、彼らの東京に対する想いはどのように変わっているのでしょうか。
2.ミッドナイト・フライト メロディアス系
出だしのアルペジオを聴いたときに、初期のシェイカーの"色”が感じられる曲だと思いました。その曲を印象付ける聴かせる旋律が必ず根底にあって、それがドラマティックな感じになった曲だなあ、と。あと、サビの「♪MIDNIGHT FLIGHT~」のフライトが「フラ~イツ!」と強烈に発音されているのがなんとなく気になる曲です。
3.ラジオ・マジック メロディアス系
私にとってはシェイカーと出逢えた曲でもあり、一番好きなベストソングです。この曲を歌うマーシーの声がいちばん好き。こんないい曲作ってくれてありがとう!と思います。これまでのライブでは必ず毎回演ってくれた曲。アンコールか、その前くらいに必ずセットされる曲であり、これを演る時は、メンバーがステージの前まで出て観客を煽るだけ煽ります。メンバー全員この曲の時は笑顔満面!「あ~、今回もアースシェイカーに逢えてよかった~!」と思う瞬間でもあります。この曲についてもう一つの思い出は「夜のヒットスタジオ」に出演してくれたこと。その日の朝、新聞のTV番組欄で「アースシェイカー」の文字を見たときの私の狂喜乱舞!「このTV出演の日に、シェイカーを知っていて、遅ればせながらファンになっていて本当に良かった、よくやった、よくやったぞ私!」このTV出演のしばらく後に、私にとって初めてのアースシェイカーのコンサートが島根県松江市であったと記憶しています。
4.ファミリー オモバラ系
アースシェイカーのファンクラブにももちろん入会していました。ファンクラブの名前は「ファミリー」。こういう曲を作るということは、アースシェイカーのメンバーはやさしい人たちに違いない、と確信していました。ファンクラブでシェイカーに会うことはできませんでしたが、ファンクラブ会員が申込できるコンサートチケットの優先販売は毎回申し込んでいました。7枚目のアルバム「SMASH」のツアー、京都会館(現在のロームシアター京都)の最前列チケットが当選したことは、今でも忘れられません。(余談ですが、チケットが届いたとき、席が24列となっているのを見て、「後ろの方か~仕方ないな、シェイカーは京都出身だから競争率高いよね…」と思っていたのですが、会場についてビックリ!京都会館は一番後ろの列が1列!なのでした。・・・とことは・・・早足で前の席へ下りていったら・・ゲーーーーーー!さ・い・ぜ・ん・れ・つ!!」)
5.ざわめく時へと メロディアス系
2曲目のミッドナイト・フライトと曲の感じは似ていますが、ドラマティック度はこちらの曲の方が少し強めかもしれません。ライブで、激しい曲の合間にこの曲が入ると、変化がついてすごくカッコ良くなります。この曲のタイトル「ざわめく時へと」は、それだけでさまざまな情景を浮かべさせる言葉だなあ、と思います。ライブが始まるまでの時間、張り詰めた気持ちと戦いながらその瞬間を待っているのか・・何か落ち着かない予感めいた心の不安と葛藤しているのか・・何にしても、カッコイイタイトルです。
6.失われた7224 メロディアス系
「7224」が一体何なのか、今もって謎です。この後デビューしたZIGGYも「928」という歌があったりします。これもとてもいいナンバーですが、私はこの歌を聴いたときにシェイカーのこの7224を思い出していました。何かこだわりのある数字なのか、忘れてはいけないキーナンバーなのか?歌詞にもその謎を解き明かすヒントはないようです。この曲はタイトでアップテンポ。シェイカーの曲にはなかなかないタイプの曲かもしれません。曲の展開とかマーシーの歌い方がとても好きで、このアルバムではラジオマジックに次いで好きな曲。これまで見てきたライブで、この曲を演ってくれのは、3回ぐらいしかなくてめったに聴けない曲です。
7.マネー ヘヴィ系
デビューした頃は、こんな曲が多かったのではないだろうか、と思わせる曲です。ライブでもあまりやらない曲ですが、一度演ってくれたのは記憶にあり、めちゃくちゃカッコよかったのです!サビのMONEY~!!とシャウトするところのマーシーのヴィブラートがすごくカッコイイ!
8.ただ悲しく オモバラ系
この頃のアルバムは、最後はバラードで終わるというのが多かったように思います。アースシェイカーの数あるバラードの中でもこの「ただ悲しく」は私の中では上位に入る曲です。ストレートに心にグッとくる旋律。シャラのギターも泣いているのがたまりません。
そのバンドがどんな音楽性なのかということは、専門家やマニアみたいな人がカテゴライズするのだろうけど、バンドって各パートのメンバーがどんなフレーズをその曲に乗せるのか、どんなリズムでその曲を表現するかによって、全然違ってくるのでしょうね。
アースシェイカーは、vocalのマーシーとGuitarのシャラが主に作詞作曲しているんだけど、曲の大体の旋律や歌詞は決まっていたとしても、作りあげていく段階でそれぞれのメンバーの感性みたいなものが交錯し合って全く違った曲になることもあるのではないだろうか、とも思ったりします。
お互いの感性を尊重して、主張して、時には譲り合って、でもぶつかり合うこともあって。
4人の作りあげた作品は、そのメンバーだからこそ作りあげることができたもの。
アースシェイカーの懐かしい歌を聴くたびに、曲をこつこつと編み上げていくメンバーの姿を想像してしまうのです。